満月通信 212号 ( 皐 月 )

感情についての考察 ①

令和6年6月22日は 十七夜の満月です。

紫陽花がいつもの街角に空色、紫、薄紅、白と美しく咲き、雨の季節の彩を見せてくれています。

湿気の高い季節、持病なども出やすい季節。お身体には十分に、ご自愛ください。

『感情』について考えてみました。

きっかけは、TVで”世界一優しい裁判官”の番組を見たことです。

YouTubeで「世界一優しい裁判官」と検索すると過去の映像を見ることができます。

アメリカ合衆国の裁判官で、お名前は『フランク・カプリオ』さんと申されます。去年の1月に86歳で裁判官を勇退されました。

40代の女黒人性が、駐車違反15回+信号無視4回の罰金を払わず放置していたため、裁判所に出頭を命じられ裁判に至りました。

彼女は証言台に立つと直ぐさま、感情を表わにし、大声を張り上げて叫びます。

「だって、あのアパートには駐車場がないのよ。私には子供が沢山いて、ハンディキャップのある子もいるの。だからアパートの横に車を止めないといけないのヨ」と。

裁判官が言います、「ここは裁判の場であなたの罪が問われているのです。なぜ、罰金を滞納し、警察からの勧告も無視したのですか?」と。

すると、

「私には子供が沢山いて、忙しいのヨ。お金に余裕なんて無いわ。だから・・・」と、

また、感情的にわめき散らします。

裁判官は落ち着いて、話します。

「落ち着いて感情的にならずに、考えて下さい。このまま警察からの勧告を無視し続けると、どうなると思いますか?

あなたの車がレッカー移動をされ、車を手放すか、多くの罰金を支払わなければならなくなります。

レッカー移動の費用の他に、駐車料金として1日一万円が加算されます。」

彼女は又叫びます。

「こんなことは困るワ。沢山の子供達がいて、送り迎えをしなければならないノ。生活をしてゆくのがいっぱいで、お金の余裕なんてないの。ハンデのある子の世話もしなければならないの...」

わめきたてる被告人の発言をいさめて、裁判官は穏やかに伝えるます。

「この裁判はあなたを、ただ不幸にさせる事を望んでいるのではないのです。話を聞いてください。落ち着いて、冷静になって下さい。一緒に考えましょう。」

このままでは、車を奪われる。その解決方法を裁判官は考えようとしてくれる。そう理解したとき、彼女は感情的判断から、損得勘定を基とした理性的思考に移行し、裁判官との話し合いを始めました。

そして証言台で罪を認め、「スミマセンでした」と謝罪しました。

下された判決は、駐車違反15回分の内の、1回分の反則金及び、信号無視4回分の内の、1回分の反則金、合わせて約二万円の反則金に減刑され、駐車場の問題を即刻解決策出来るよう促されました。

被告人は裁判官による減刑を感謝し、問題の直接的解決に当たることを約束し、裁判は閉会しました。 

   

また同じころラジオの人生相談番組にて、相談者が自分の主張を諌められ、反抗的に電話をいきなりガチャンと切った放送を聞きました。

62歳の女性からの質問でした。

「息子の嫁の態度が横柄で、馬鹿にしているように感じる。孫が産まれたので、その子は私が育てるから、離婚して嫁を追い出すうに息子言ったが、言う事を聞かない。最近は息子にメールを送っても返信がない。どうしたらよいか?」と言う内容でした。

回答者の問いかけに対する返答も感情的な言動で、相手が悪いと批判をし、私は被害者であると訴え、悔しい思いしたと繰り返すばかりでした。

「あたたは、ご自身の発言に対して、私達に賛同を求められていますが、

私は、あなたの意見に決して賛同しません」と、回答の方が突き放しました。

もうお一方の進行担当の方が、

「あなたの回りの方々の気持ちをもう少し考慮されてはいかがですか。

話し合いの機会を持たれてはいかがですか?」と、伝えると

「もう、いいです。」と、電話をいきなりガチャンと切りました。

 

【えっ!ひどいなぁ~』と思っていると、MCの方は

「ナルシストは、他人に興味がないのです。」という言葉で番組を締められました。

 

以前、感情的な判断を優先していた男性の友人に対して、「感情から思い浮かんだ事が、自分の全てだと思い込んでいないか?」と、質問したことがありました。

彼は、「エッ!」と言葉を飲み込んだままでした。

多くの人々が、心に浮かぶ感情の発露を自分の真の思いと疑わずにいるようです。

 

1970年代に人間の真理を伝えられた故高橋信次氏は、

「心は四つの要素から成り立っている。『感情、本能、知性、理性』この四つの心の領域がバランス良く働かせる事により、丸い心を形成することが出来る。」とその著書に記されています。

感情を最優先させていると、自己中心的、独善的になり周囲の人々と軋轢が生じます。調和を保った人間関係を築くことが出来ず、孤立化へ向かう傾向が強くなることでしょう。

また、自分の感情に蓋をして、大切な思いをすり替えたり、誤魔化すと、心の奥にその思いが念として残ることがあります。 これが本当の”残念”。

何時ぞやか、後悔や迷いとなって表面に表れ出る事もありましょう。

過ぎることなく、不足することなく適切な状態であるだろうか。

自分に取って、適切な『感情』の発露について考えることは、とても大切なことであると思います。

次の満月は 令和6年 7月21日です。

また、ご覧ください。 よろしくお願いいたします。

  月 真行

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